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2005年 07月 27日

シェイクスピア考

こちらの大学に来て生活するにおいて抱いた疑問の一つに、「なぜシェイクスピアはこんなにも人気なのか?」というものがあった。つまり、私がこちらの大学で出会った文学部の人は、全員といってよいほどシェイクスピアを専攻してた。あまりにも、次から次へと、シェイクスピア専攻の人に出会うので、その魅力とは一体なんなんだ・・・?って思ってたってことなんだけど。直接、それらの文学部な人々に聞いてみるんだけど、なんとなく腑に落ちる答えをもらえないので、本を読んでみた。

「シェイクスピア考」 外山滋比古

私がことに疑問に思っていたのは、つまりシェイクスピアの作品は、そもそも台本であるのに、それを本として読んで一体面白いのか?ってことである。戯曲っていうのかな。本来「演じられる」べきもので「鑑賞」されるべきものなのだ。それを、現代の人は、古語みたいなのを解釈しながら「読んで」いるわけで、それって面白いのかなー?って、不思議だった。

実際、上記の本を流し読んだところによると(ちゃんと読んでないので間違ってるかもしらんけど)、実際、彼の作品は、耳に訴える演劇であったので、それが視覚的に理解される時は、かなり饒舌に感じられるらしい。特に、長い愁歎の台詞なんてのは、相当くどい。また、独白の台詞では、前後のあらすじと比べて論理性に欠けていることもあるらしい。つまり、観客席から耳で聞いてちょうど良いように、多くの台詞は、大げさに誇張してあって、よりロマンティックになるように、重複されていたり、冗長なのである(聴覚からの情報入力)。ただ、それらの台詞が、活字として印刷され、文学部の人の教科書として読まれると(視覚からの情報入力)、冗長性とか、論理の一貫性のなさ、みたいなのが顕在化してくるのである。まぁ、もちろん、文学部でシェイクスピア専攻の人々は、最低一度くらいは実際の演劇を鑑賞しておられるんでしょうが、そんな舞台も、機会としてそう多くはないだろうから、演劇鑑賞がきっかけでシェイクスピアにのめりこんで大学で専攻・・・ってことではないだろう。たぶん。

実際、外山滋比古自身も、なんでシェイクスピアって文学としてこんなに人気なんでしょうねー?ってなことを述べるにとどまっていて、私のbig questionは、紐解かれなかった。。。。

とりあえず、私が考えつくシェイクスピア作品の魅力としては、名言・金言が多いってことなんでしょうか?それが全国の文学少年少女を惹き付けて止まないのでしょうか?誰か、わかる人教えてください。 とりあえず台詞の中に、人生について、恋についてなど、一般化して物語るようなものは多いようだ。「あぁ脆きもの汝の名は女なり」とか。確かに彼の作品中の金言みたいなのは、現代でもよく引用される。そういう名言たちが、時空を超えて、人々に愛されてるってことなんですかねー?   

弟の部屋で偶然、少年少女のためのシェイクスピア物語 みたいなの発見して、「リア王」を読み直してみましたが、最後には、善人も悪人も簡単に死んじゃって、全く持ってラストシーンに救いがない。一昔前の日本のテレビドラマを思い出しました。たぶん、ストーリーだけを、こういう形で抽出して鑑賞すべきものではないのでしょう。でも、原文や原文による演劇を私が鑑賞することは、これから一生ないだろうので、つまり、私は、一生シェイクスピアの魅力を理解できないってことだな、という結論に達してしまった。ま、それで特に残念ってわけでもないんだけど。

まぁでも、Napaのワイナリーで見つけた絵はがきの裏に書かれていた、以下の言葉は、とりあえず私も好きです。ちょっとは、私にも理解可能なことを言っててくれて良かったです。シェイクスピア。

Give me a bowl of wine - in that I bury all unkidness.
-- William Shakespeare 1564-1616

by lyn1080flatspin | 2005-07-27 17:27


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